詳細 : アレンジの進め方・手順
私の編曲譜をご覧頂ければ - 左のイメージをクリックして一例を見ることもできますが - 全てパソコンのノーテーション・ソフトウェア(楽譜作成ソフト)で作れらているのがお分かりになるでしょう - 使用ソフトは TablEdit 。長く愛用している素晴らしいソフトですが、しかし今なお編曲そのものには「人の手」が介在する必要がありますし、そこには「1%の霊感と99%の汗」的な世界があるやにも思われます。とは言っても、ソフトウェアによる「汗」部分への貢献度は高く、私の音楽人生においても「現代的な手順」の確立に一役買っているといえましょう... 時代は刻々と流れております(汗?)。
ということで、このコラムでは「今現在のアレンジ手順」という視点より一連の流れを解説してみます - 霊感の部分は、別の詳細コラム「総則」の方で触れてみます。 また、いずれ近い将来、このテーマに関してブログ風エッセイなども書いてみるかもしれません... ;-)
初め から 終わり への段階・ステージ
1. 全体の検証 & 手書き編曲
まさに初めの一歩として、本当にギター・アレンジができるのかどうか、ピアノ譜を確認して判断する必要があります。その後、手作業で白紙のタブ譜シートにアレンジを書き取っていく訳ですが、このタブ譜シートも手作り; 五線譜に一本線を足して作っています。以下、手順の詳細については次の通り。
- チューニングとカポの使用を決定... 典型的なパターンは; (オリジナル) Aフラット = (ギター) ドロップG + カポ1フレット、(オリジナル) D・G= (ギター) ドロップD、など。弾きやすさを求めて特殊なチューニングを採用することも。
- 事前確認での目のつけ所は; メロディの最高音と最低音、第一及び第三楽節の主要なメロディ、特に転調と音楽的起伏の複雑さ、等。
- タブ譜ソフトを使うようになったので、手書き楽譜はかなり簡略化しています... メモ程度(時にはすごくキタナイ)。
2. タブ譜ソフトへデータを投入
編曲の第一工程として「ラフな翻訳」が済んだら、次に楽譜をパソコンにデータ入力します... ソフトウェアは "TablEdit"(TE)。最近は以前より早い段階でデータ入力するようになっており、例えば「第一楽節」が済んだら終わったところまで入力しプリント、という感じで作業を進めています; その理由は、綺麗な形で見れるのと、MIDIで編曲のサウンドを確認できるため、です。
実際に、この段階でアレンジした曲をスムーズに弾きこなすのは「まず絶対に無理」なので、ソフトウェアによる演奏で、書き損じミスやアレンジの雰囲気、適正等を確認しています。
- 初めに基本的な曲設定を行います - 例えば、チューニング、カポ使用、調性と拍子・音部記号、MIDI演奏時のテンポやサウンド、など。しかし実際には、以前に作った編曲ファイルをコピーしてから基本設定を更新するパターンが多いです。それが可能なのも、ラグタイムという音楽自体に共通性があるからで、例えば ; フラット系の調性、2/4拍子、マーチ位のテンポ設定、等です。
- 次に、タブ譜データ (押さえる弦のフレット数字) をスクリーンのブランク・シートに入力していきますが、そうするとソフトが「五線譜」を自動作成してくれます - スゴイですね! もちろん色々な微調整は必要なのですが、慣れてしまえばそう難しくはないです ;-)
- この作業を繰り返した後、全部を入力し終わったら、反復記号などの全体構成の確認を含めて「自動演奏」をしてみます。これにより、音の勘違い、入力ミス、ピアノ楽譜からの見落としといったミステイクが発見しやすくなります。
3. 演奏する立場から検証
1曲分の入力が終わったら、初回レビュー用にプリントします。私の場合、標準的な印刷設定が決まっているので、すぐに次のステップに移ることができますが; それは、プレーヤー目線でのチェックです。アレンジ自体は最初から「本物のギター」を使って行っている訳ですが、実際には変更をほどこす余地は多分にあります - 欠点と可能性の両面において。実際にこれらの改善は色々な形で表面化されてくるので、以下にもう少し詳しく記述してみます。
- 初めに自分のタブ譜をシンプルに弾いてみます - 他人が書いた楽譜を弾くように。実際、最初は「全然うまく弾けない」ことが多いです - これは、私自身が「編曲」と「演奏」を別離して別次元に考えていることの証でもあるのですが。
- プリントする前にMIDIで演奏を確認している訳ですが、やはり欠点やオリジナル楽譜の読み間違い等があり、それらもこの「実演」を通じて認識される場合がしばしあります。見方を変えれば、簡単に弾けないからこそ欠点に気づく余地が生まれる、と言えるのかもしれませんが... 。
- 加えて、適正なテンポで実演するには難しすぎる箇所もあり... その場合は、より簡単な運指、ピッキングができないか探ってみるなど改善を施します - このトライアルは、最終的に「これ以上は無理」と思えるまで続きます。
4. 最終チェック & 浄書確認
当たり前のことですが、演奏しようと思って編曲しています... とは言うものの 「演奏と編曲は別もの」というスタンスで捉えているのも事実でして、編曲楽譜そのものは “風景画みたいなもの” という風に言えるかもしれません。
ということで、現実と作品を比較して「納得したら筆を置く」ように、編曲活動でも最終的な「原典チェック」を行うのが、私の場合は一般的です。
- 最終確認は、原典ピアノ楽譜との「付き合わせチェック」 - この段階だと、どちらかというと図形的な意味合いからの相違確認みたいな感じでして、ダブルフラット表記ができているかとか、旗の向きは妥当かといった観点でチェックを進めます。
- 基本的には「自分の愉しみ」として取り組んでいるのですが、その一方で「隙あらば改善」したいとも思い続けているのも事実 - なので、例えば「YouTubeに投稿しよう!」等と決めたら、もう一度アレンジを見直したりすることもよくあります... その際のポイントは、しかしながら 「もっと簡単に弾けないか?」 という観点が多いのですが... (笑)